カーボンスポークの効果

アルミスポークに引き続きカーボンスポークの効果です。

論法はアルミスポークと同じなので最初から物性から入っていきます。

もっとも一般的と思われる東レのT700です。

何事が起きたのかと思うくらい比剛性が上がっています。400%アップしています。

これが本当だとしたらカーボンスポークは鉄スポークの1/5の重量で同じ剛性が出てしまうことになります。(実際には理論値どおり出ないことが多いです。)参考までにとりあえず同じ重量になるようにスポークを作図すると以下の図のようになります。上からステンレス・アルミ・カーボンです。

剛性だけみるなら鉄スポークよりも細くできるはずですが、実際には細く作るメーカーもここまで太くするメーカーもいないようです、軽さとエアロにも振りたいのでもう少し細く設計しているといったところでしょうか。それとカーボンは靱性がステンレスよりも無いため細くしすぎて、何か巻き込んだ時にばらばらになりかねません。

ここまでの話だとカーボンスポークは良いことばかりのように思えてきますが製造は大変です。アルミスポーク同様、終端部拘束が課題になります。(ホイールはここの特許が結構多いです。)

カーボンはネジを受けたり、高い面圧を受けるのが苦手なためアルミのインサート部材で連結するか、直にリムとハブに接着します。メンテナンス性を考えるとニップルが付くようにアルミのインサートネジは必須ですが、カーボンスポークとの接着部はカーボンが寄与せずカーボン樹脂または接着剤のせん断力で止まることになります。そのためカーボンが破断せずとも最弱部位がこの接合部となり、ここでスポーク強度が決まります。

結局、接合部強度を増すために接合部面積を増やす必要がありカーボンスポーク自身もある程度太くせざるを得ないといったところです。接合部だけカーボンを増やす事もできるかもしれないのですが、カーボンは繊維同士を樹脂でつないでいるため短いレイアップをすると狙い通りに力が伝わらず、強度・剛性がでないことがしばしばあり、作り易さも考えて1枚のカーボンでまとめて成型するケースが多いようです。

それとカーボンは繊維なので引張りは得意ですが、圧縮は苦手とされています。ですがコンプレッションホイールが成立しているのを見ると十分使えるようです。ステンレスの5倍の剛性がでますから圧縮で理論値どおりの物性が出ずとも軽くステンレススポークを凌ぐ剛性が出るようです。というわけで性能自体は極めて優秀なカーボンスポークですが、部品の増加と成型による生産性の悪さによりコスト高となっています。コスト安くて、エアロ性能高くて、十分剛性の出るステンレススポークだけしか使わないメーカーの気持ちも分からないでもないです。

余談ですが、3本スポークカーボンホイールは横剛性が低くなります。構造的に横剛性に対して不利な形状となるためですが、素材がいくら強くても構造もしっかりしていないとステンレススポークホイールよりも性能は下がってしまいます。