アルミスポークの効果

今回はアルミスポークについて書きたいと思います。
アルミスポークのホイールは硬い気がする。昔から良く言われていますね。
はたして本当にそうか検討してみましょう。
通常ステンレススポークにはSUS304が使用され、アルミスポークには最も高強度なA7075-T6としておきましょう。
独自配合をうたっていたとしても強度や剛性が2倍になるようなアルミがあるなら工業界で流通しています。
以下が物性になります。


ステンレスの方が密度が高く重たい事が分かります。
この時のステンレススポークとアルミスポークが同じ重量になるように作図すると以下のようになります。


上がステンレススポークで下がアルミスポークです。
これで同じ重さです。
市場にあるアルミスポークとステンレススポークはだいたい同じ重さで作られているようだと感覚的に分かります。
さて次に剛性について見ていきましょう。
剛性は弾性率を密度で割った比剛性という数字で表します。
重さに対してどの位変形し難いかという数字です。数字が高いほど剛性が高いです。

アルミスポークの比剛性の方が5%ほど高い数字になりました。
アルミスポーク20本でステンレススポークで21本で組んだ相当の剛性がでることになります。
とりあえずアルミスポークにすることで剛性は上がりますが、率直にいって微妙な数字です。。。
そしてアルミスポークを微妙にする話はまだあります。
スポーク太さが変わるのでリムとハブ取り付け部を再設計しないといけないからです。
ニップルとハブ取り付け部を簡単に作図すると以下のようになります。

アルミスポークの方がニップルが大きくなり重くなることは確実で、ハブ側のスポーク引っ掛け部も大きくなりハブが重くなることも確実です。
よって先ほどできた5%のアドバンテージをここで失うこととなります。

ようするにアルミスポークは工学的に意味がありません。

スポークも太くなるためエアロ効果が下がるデメリットが出てきてしまいます。

アルミスポークを採用するメーカーは自身で設計しているので当然メリットが無いことは気が付いているでしょう。

ではなぜアルミスポークをわざわざ採用するのかというと、やはり

見た目

でしょう。メリットがなく、さほど大きなデメリットもなく概観が向上するモノといえば、工学的には塗装に近い分類になります。

すなわちアルミスポークとは塗装みたいなものなのです。

高級コンポなんかも原価の大半は表面処理と言われるくらいなので、そう考えればあながち否定したものではないかもしれません。

エアロを追求してステンレススポークを使うも良し、ライダーがよりエキサイティングできるデザインを重視してアルミスポークを使うも良し。

自転車は奥が深いですね。

誤解が無いようにアルミスポークのホイール自体は乗り味良いですからね。ステンレスで組んでも良いですからね。