超低摩擦パウダーをタイヤに塗る

 タイヤの転がり抵抗はタイヤ・チューブが自転車の自重で変形するときに発生するヒステリシス
ロスによるタイヤ前後の圧力差により発生します。そこでこのヒステリシスロスを低減するため
タイヤとチューブの間に低摩擦のパウダーを塗りチューブをより動きやすくすれば、チューブ・
タイヤ間の摩擦ロスが減りヒステリシスロスが減るのではないかと考え実験を行う事としました。
下の写真はタイヤにパウダーをすり込んだ写真です。まるで油が塗ってあるように良く滑り
ます。

 低摩擦パウダーはBLACK OILで使用している固体潤滑剤を用いました。
転がり抵抗試験機は770mmもの大型のドラムが必要で、さらに転がり抵抗は微小であ
るため測定が容易ではありません。そのためオランダのbicyclerollingresistance.com様
に試験を依頼しました。こちらの測定機は再現性が高い事で定評があります。

試験結果が以下になります。
【実験条件】
タイヤ:ミュシュランパワーコンペティション
速度:28.8km/h
重量:42.5kg(実車だと71.8kgなので本結果の約1.7倍が実車抵抗となります。)
空気圧:120~60psiで20psi刻みで測定


まずは低摩擦パウダーなしの状態の結果です。(頂いたレポートより抜粋)

次に低摩擦パウダーありの状態の結果です。

 なんと意外なことに低摩擦パウダー有りの方が転がり抵抗が1.5ワット、12.6%も増えてしまいました!この結果にはSACRAもbicyclerollingresistance.com様も本当に驚きました。なぜこのようになるのかというと、もともとの仮説が間違っていたようです。正しくは、タイヤとチューブの間にはすべりや摩擦ロスはほぼなく、低摩擦パウダーを塗ることでかえってチューブが動き摩擦ロスが増えてしまったということです。ちなみにいわゆる従来のタイヤパウダー(タルクパウダー)ではこのような現象は起きないとのことです。タルクを遥かに上回る超低摩擦パウダーは開発できましたが、低摩擦タイヤパウダーの開発は断念することとなりました。。。低摩擦パウダーの副次効果としてチューブが良く動くようになったためタイヤの乗り味が滑らかに、段差乗り越え時の衝撃が緩和されるようにはなりました。